マタニティ歯科について
マタニティ歯科とは
妊娠中の方や出産を迎えるご家族の方を対象に、お口のケアやアドバイスを行う診療科目がマタニティ歯科です。妊娠中には女性のホルモンバランスの影響により口腔内環境に変化を生じます。トラブルを起こしやすく適切なケアが必要となります。
マイナス1歳からのデンタルケア
当院では生まれてくるお子さまの健康をお守りするために『マイナス1歳からのデンタルケア』を推奨しています。生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には口腔常在菌が存在しません。成人の口腔内には300~500種類の口腔常在菌が存在するといわれていますが、子どもの口腔常在菌は、ともに生活をする父親や母親等の保有している口腔常在菌の種類に似かよってくることが最近明らかになってきました。スキンシップによる唾液の飛沫が大きく影響しているようです。しかしながら可愛いお子さまとのスキンシップは子育てにとって非常に重要なことになります。そこでまずは子育てにおける準備として、ご家族の口腔内ケアと健全な口腔内の管理は子どもの健康にとって重要な要素になります。
晴れて生まれてくるお子さまとご自身の健康のためにも無理のない口腔ケアと子育て対策をご提案いたします。
妊娠中の口腔内環境の変化
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女性ホルモンの変化
妊娠中の女性にはホルモンバランスの影響により唾液の分泌量が変化します。お口の中が乾きやすく、口腔内環境のバランスにも変化を生じます。
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むし歯・歯周病のリスク
妊娠中には食欲の変化により食事の時間帯がばらつき、つわりの影響等で歯磨きの時間が短くなることも初期には起こりがちです。生活環境の急激な変化にともない、むし歯や歯周病のリスクが少しずつ高まります。
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妊娠中に生じる影響
むし歯や歯周病は感染症であるため、お口の中だけではなく全身的にも影響を及ぼします。妊娠中にはむし歯や歯周病により、早産や低体重児出産のリスクを高めることがあります。
妊娠中にかかりやすいお口の疾患
むし歯・歯周病
特に妊娠初期にはつわり等の影響もあり、食事の時間や生活環境に変化を生じます。口腔内が不衛生になりやすく、また嘔吐の際には胃酸や唾液の影響により口腔内のバランスが崩れ、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
妊娠性歯肉炎
妊娠中には生活環境が変化し、さまざまなトラブルを生じます。妊娠性歯肉炎はその一つと考えられ、歯肉が通常時よりも炎症や出血をお越しやすい状態になるのが特徴です。今まで口腔ケアをあまりなされていない方は特に注意が必要です。
妊娠性エプーリス
妊娠中には妊娠性エプーリスと呼ばれるしこりのようなものが歯肉に生じることがあります。詳しい原因は定かでありませんが、ほとんどは良性なもので時間とともに消失します。少しでも気になることがあればご相談ください。
マイナス1歳からのケア
妊婦歯科健康診査
当院は船橋市妊婦歯科健康診査の協力歯科医療機関です。ご来院時に母子手帳と船橋市から送られてきた受診票をお持ちいただければ、妊婦歯科健康診査を受けることができます。
妊娠中や産後のこと、さらにはお子さまの健康に関することは、どんなことでもお気軽にご相談ください。ご家族の健康を適切にサポートいたします。
ご自宅でのケア
妊娠中にはつわり等の影響により通常の歯磨きが難しくなることがあります。また不規則な就寝時間や生活環境の変化にともない、日頃の生活リズムの違いや人によっては間食も増えてしまうことがあります。そのため口腔内の環境にも次第に影響を及ぼしますが、ブラッシングは無理をせず、できるときに行うことを心掛け、頻繁にお口をゆすぐようなことで対応していきましょう。妊娠中にブラッシングが辛いような期間というのは短い期間になるかと思います。体調が落ち着く時間帯などに少しでもブラッシングを行うことができれば、お口の中には自浄作用がありますので、それほど問題にはなりません。また、最近の多くの歯ブラシは各メーカーともに研究と改良がなされています。何回ブラッシングをされても、やり過ぎることはほとんどありませんので、できるときにこまめなブラッシングを行いましょう。ブラッシング時に姿勢を前かがみにすること、歯ブラシヘッドの小さな子ども用歯ブラシや香りの違う歯磨剤に代えてみるのも効果的かもしれません。
歯科医院でのケア
定期的に口腔内のケアをすることは、お口のトラブルを未然に防ぎ、ご本人と生まれてくるお子さまの健康を築くことに繋がります。むし歯がないと思っている方でも歯石は沈着していきますので、計画的に3か月に1回は歯科医院での受診をおすすめします。ぜひご家族皆さまでお口の健康を維持しながら新しい家族をお迎えする準備をしていきましょう。
予防歯科妊娠中の歯科治療について
妊娠初期(~4か月)
妊娠中には積極的な歯科治療を行いません。とくに妊娠初期の時期には、ご本人の急激な体調の変化や胎児の発育への影響も考慮する必要があります。むし歯などで激しく痛みが生じている場合には、できる限り簡単な処置にとどめ、体調を見計らいながら時期をみて治療を進めていきます。
妊娠中期(5~7か月)
一般的に妊娠安定期とも呼ばれ、さまざまな活動は行える時期になります。妊娠中に歯科治療を行う必要があれば主にこの安定期に進めていきます。極力レントゲン撮影や麻酔、投薬などは控えた処置にとどめ、口腔内のケアもできるだけこの時期に行います。疑問点やご不安な点があるようでしたら治療前にどんなことでもご相談ください。
妊娠後期(8か月以降)
胎児が大きく発育し、治療であおむけの姿勢を取ることも難しくなることがあります。緊急的な治療の必要性が無い限り積極的な治療は行いません。以前から治療を進めていた場合には、経過観察を行い計画的に出産後に再開できるよう進めていきます。
痛みの緩和や応急処置には対応していきますので何かございましたらご相談ください。
妊娠中の治療の際の注意点
- 放射線量の少ないデジタルレントゲン撮影に関しては母体や胎児に大きな影響はないと言われています。しかしながら念のため当院では妊娠中のレントゲン撮影は必要最小限にとどめ、ほとんど行いません。
- 歯科用麻酔に関しても母体や胎児に大きな影響はないと言われています。歯に痛みを生じ、全身に強いストレスがある場合に限り、必要があれば少量の麻酔下のもと治療を行うことがあります。麻酔が必要な場合には必ず患者さまとご相談し治療を進めていきます。
- 歯科治療で用いる経口的なお薬に関しては、できる限り服用を避けていただきます。万が一薬を用いる必要性があると思われる場合においても、主治医の産婦人科の先生にご相談し、有無の確認をさせていただきます。